軽量でコンパクトな望遠レンズ、M.ZUIKO ED 75-300mm F4.8-6.7 IIを手に入れました

私は望遠レンズが大好きで、散歩のお供に最適な軽量コンパクトな望遠レンズとして、M.ZUIKO ED 75-300mm F4.8-6.7 IIを購入しました。

型名の開放F値が示す通りの暗いレンズですが、重さわずか423gという驚きの軽さでありながら、フルサイズ換算で600mmの焦点距離を実現しています。

以前は息子の野球撮影にSIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM | Contemporaryを使用していましたが、その重さはなんと1930gでした。M.ZUIKO ED 75-300mm F4.8-6.7 IIの重さは、その1/4以下です。

ここでマイクロフォーサーズの利点が発揮されます。センサーの小ささが、軽量かつコンパクトなレンズの実現を可能にしているのです。

600mm超望遠がこのサイズ感
600mm超望遠がこのサイズ感

M.ZUIKO ED 75-300mm F4.8-6.7 IIの特徴と限界

この軽量コンパクトさに惹かれ、M.ZUIKO ED 75-300mm F4.8-6.7 IIを手に入れましたが、そのF値をフルサイズ換算するとF9.6-13.4となり、ボケを期待することはできません。

遠景の撮影では、ボケがなくてもあまり問題にはなりません。しかし、テレマクロで近距離から中距離の被写体を撮影する場合、背景が非常に騒がしく(汚く)写ってしまうことが課題となります。

背景があまりボケないので煩雑なイメージ
背景があまりボケないので煩雑なイメージ
OLYMPUS E-M1 Mark III + M.ZUIKO ED 75-300mm F4.8-6.7 II
194mm, F6.1, 1/125s, ISO250
後の木の反射している部分が気持ち悪い
後の木の反射している部分が気持ち悪い
OLYMPUS E-M1 Mark III + M.ZUIKO ED 75-300mm F4.8-6.7 II
100mm, F5.1, 1/320s, ISO160

花のような小さない被写体であれば、200~300mmの超望遠域でグッと近寄って大きく写せばそれなりにボケを得ることが可能ですが、ある程度の大きさのモノをテレマクロ的に撮るのは、出てくる画的に不満が残ります。

小さい被写体を大きく写すテレマクロなら背景をぼかせる
小さい被写体を大きく写すテレマクロなら背景をぼかせる(やや硬いけど)
OLYMPUS E-M1 Mark III + M.ZUIKO ED 75-300mm F4.8-6.7 II
200mm, F6.1, 1/640s, ISO100

ただし、空が背景に広がるような場面、たとえば飛翔する鳥を撮影する際には、意外と素敵な結果が得られます。空は遥か彼方に広がっており、雲程度しか存在しないからです。

空が背景なら背景ボケの汚さはなくなります
空が背景なら背景ボケの汚さはなくなります
OLYMPUS E-M1 Mark III + M.ZUIKO ED 75-300mm F4.8-6.7 II
75mm, F5.6, 1/1250s, ISO320, AIノイズ除去

M.ZUIKO ED 75-300mm F4.8-6.7 IIの利点と使い方

M.ZUIKO ED 75-300mm F4.8-6.7 IIの焦点距離ごとの開放F値はおおよそ次の表のように推移します。

焦点距離(35mm換算)開放F値
75mm(150mm)F4.8
85mm(170mm)F5.0
94mm(188mm)F5.1
109mm(218mm)F5.2
117mm(234mm)F5.3
124mm(248mm)F5.4
132mm(264mm)F5.5
150mm(300mm)F5.6
156mm(312mm)F5.7
164mm(328mm)F5.8
171mm(342mm)F5.9
187mm(374mm)F6.0
194mm(388mm)F6.1
208mm(416mm)F6.2
221mm(442mm)F6.3
234mm(468mm)F6.4
252mm(504mm)F6.5
264mm(528mm)F6.7
OLYMPUS M.ZUIKO ED 75-300mm F4.8-6.7 II 焦点距離ごとの開放F値

ちょうど150mm(35mm換算300mm)でF5.6となるため、一般的なキットズームと同じ明るさです。

M.ZUIKO ED 75-300mm F4.8-6.7 IIは、素晴らしい解像力を持ったレンズで、広角端の75mmから望遠端の300mmまで、被写体を鮮明に写し出します。

広角端でのテレマクロ
広角端でテレマクロ的撮影をすると解像するもののボケが足りずに背景がうるさくなります
OLYMPUS E-M1 Mark III + M.ZUIKO ED 75-300mm F4.8-6.7 II
75mm, F4.8, 1/640s, ISO100
望遠端でのテレマクロ
望遠端でのテレマクロでもピント面はしっかり解像しています
OLYMPUS E-M1 Mark III + M.ZUIKO ED 75-300mm F4.8-6.7 II
300mm, F6.7, 1/640s, ISO125

ただし、遠くの被写体を大きく写す場合など、焦点距離が250mm以上になると、AF精度が劇的に低下することが問題となります。ですが、テレマクロのように近くの被写体を狙う場合には、AFの精度には問題がありません。

AF精度の問題はボディ側の更新で解決する可能性があります。
私が所有しているE-M1 Mark IIIは一世代前のカメラですので、最新のOM-1であればこの問題が解決、あるいは緩和されているかもしれません。

少なくともE-M1 Mark IIIでの運用では、焦点距離200mm辺りが一つの境界となり、遠くの被写体を大きく写す場合、通常は150mmから200mmを上限に使うことをおすすめします。

また、照明条件が悪い室内での撮影では注意が必要です。そのような場合には、やはりAFの精度が低下してしまうことがありますので、シャッター速度を上げ連射を使うなどの工夫が必要かもしれません。(当然ISO感度は上がります。)

照度が足りないとAF精度が悪くなります
ウサギ小屋を外から撮影
照度が足りないとAF精度が悪くなります
OLYMPUS E-M1 Mark III + M.ZUIKO ED 75-300mm F4.8-6.7 II
94mm, F5.1, 1/160s, ISO250

M.ZUIKO ED 75-300mm F4.8-6.7 IIのもう一つの利点は、その価格です。新品で34,000円、美品中古で30,000円程度と非常にリーズナブルです。(フード別売はいただけないですが)

スポーツや野鳥撮りなど本格的な撮影を行う場合には、いくつかの不満も存在するかもしれませんが、この価格帯なら日常的な使用においては十分に満足できる一本と言えます。

その他作例

散歩中にこのくらい撮れればいいですね
散歩中にこのくらい撮れればいいですね
OLYMPUS E-M1 Mark III + M.ZUIKO ED 75-300mm F4.8-6.7 II
94mm, F5.6, 1/1250s, ISO160 , AIノイズ除去
水面が背景でも良い感じ
水面が背景でもすっきりしますね
OLYMPUS E-M1 Mark III + M.ZUIKO ED 75-300mm F4.8-6.7 II
100mm, F7.1, 1/1250s, ISO1600, AIノイズ除去
プロキャプチャーモードを使って飛び立つ瞬間を撮影
プロキャプチャーモードを使って飛び立つ瞬間を撮影
OLYMPUS E-M1 Mark III + M.ZUIKO ED 75-300mm F4.8-6.7 II
240mm, F7.1, 1/1250s, ISO800, AIノイズ除去
テレマクロ
落ち着いた背景でのテレマクロ
OLYMPUS E-M1 Mark III + M.ZUIKO ED 75-300mm F4.8-6.7 II
156mm, F5.7, 1/80s, ISO320, AIノイズ除去
広角端開放での室内撮影
広角端開放での室内撮影
OLYMPUS E-M1 Mark III + M.ZUIKO ED 75-300mm F4.8-6.7 II
75mm, F4.8, 1/60s, ISO1000, AIノイズ除去
猫様を撮るのは捗る(ただし背景はボケない)
猫様を撮るのは捗る(ただし背景はボケない)
OLYMPUS E-M1 Mark III + M.ZUIKO ED 75-300mm F4.8-6.7 II
200mm, F6.1, 1/250s, ISO125
縦撮り
縦撮り
OLYMPUS E-M1 Mark III + M.ZUIKO ED 75-300mm F4.8-6.7 II
194mm, F6.1, 1/250s, ISO250, トリミング
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II〔レンズフード別売〕