以前のレビューでは、「開放でもピントの合った中央部分はしっかり解像し、遠景ではF4〜F5.6あたりまで絞れば十分な画質が得られる」と書きました。
しかし、改めてこのレンズを使ってみると、少し印象が変わりました。
以前のレビュー(2023-05-13)
個性豊かなM.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PROを手に入れた!F1.2シリーズとは異なる魅力【レビュー】

絞ってもスッキリしない周辺画質
確かに中央はシャープで、気持ちのいい解像感があります。ですが、周辺部は非点収差の影響か、F5.6〜F8まで絞ってもスッキリとは解像しません。
パンフォーカスに近いイメージで風景や街を撮ると、周辺の甘さが気になる場面も。スナップ向きな画角だけに、ここは少し惜しいところです。

OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO 20mm F1.4 PRO
20mm, F7.1, 1/250s, ISO200
一方で、ボケの描写はとても柔らかくて美しいです。背景をぼかして被写体を引き立てるような撮り方をすれば、このレンズの良さがしっかり発揮されます。
ただし、開放からF2.8あたりまでは軸上色収差が出やすく、シーンによってはRAW現像でも完全に補正しきれないこともありました。

OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO 20mm F1.4 PRO
20mm, F1.4, 1/1600s, ISO200
画角について
また、以前は「40mmという画角は思っていたより広く、50mmに慣れた自分にはちょっと使いにくい」と書いたことがありますが、今はその印象も変わりました。
というのも、「標準レンズ」として50mmの感覚で使おうとするから戸惑うのであって、40mmならではの、35mmほど広くなく、50mmほど狭くない絶妙な画角として意識すれば、むしろ使いやすいと感じるようになりました。
ボケを活かした奥行き感のある撮影向き
画角だけを見ればスナップ撮影にぴったりなのですが、絞ってもパンフォーカスでバシッと写すのが難しいと感じる場面もあります。
そう考えると、一般的なスナップよりも、ボケを活かして奥行き感を出すような写真に向いているかもしれません。

OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO 20mm F1.4 PRO
20mm, F2.0, 1/2000s, ISO200
とは言いつつ、被写界深度の深いフォーサーズセンサーのカメラで、ボケ重視の写真撮影が向いているかと言えばそうではないわけで、このレンズを選ぶのは、なかなかにニッチな選択肢だと思います。
とはいえ、被写界深度の深いフォーサーズセンサーでは、ボケを活かした撮影が得意かと言えば、そうは言い難いです。
そう考えると、このレンズを選ぶのは少しニッチな選択かもしれません。ただし、その個性に惹かれる方には面白い一本だと思います。

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