マイクロフォーサーズユーザーにとって、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO はいつか辿り着く「上がり」のレンズと称されます。
私自身、長年 12-40mm F2.8 PRO シリーズを愛用してきましたが、システムをマイクロフォーサーズへ回帰させたこのタイミングで、「一度はあの万能感を味わっておこう」と、期待を込めてこのレンズを手に入れました。

期待を裏切らない「解像力」と「利便性」
手にしてすぐ、その評判の高さには納得がいきました。
- 開放F4.0から四隅までビシッと決まる解像感
- 風景を切り取る際の圧倒的な安心感
- 「止まりすぎる」とさえ感じる強力な手振れ補正
少々大きく重いですが、これ一本で広角から望遠までカバーできるメリットを考えれば、スナップでも十分に許容範囲です。描写の素晴らしさについては、もはや語るまでもないでしょう。
しかし、撮影を重ねるうちに、私はある「壁」に突き当たりました。

12mm, 1/1250秒, F6.3, ISO200
広角端12mmの気持ちのいい描写

100mm, 1/3200秒, F4.0, ISO200
望遠端100mm
隠しきれない「フリンジ」の露呈
多くのレビューでは「軸上色収差は完璧に抑えられており、倍率色収差もデジタル補正で問題ない」とされています。確かに、標準的な露出のJPEG画像を一見する限りはクリーンです。
異変に気付いたのは、明暗差の激しいシーンで露出を持ち上げた時でした。
広角側(35mm付近まで)において、画面の四隅にあるハイコントラストなエッジ部分。露出を上げると、そこにはデジタル補正を潜り抜けてきたくっきりとしたフリンジが、はっきりと残像のように浮かび上がっていたのです。
RAW現像ならなおさらです。Lightroom Classicで現像すると、隅の方に出るこの色付きがどうしても気になります。

12mm, F5.6, 1/320秒, ISO200
撮って出しJPEGの露出をPhotoshopで上げた写真
空と枝・遊具の明暗差でフリンジがくっきり


12mm, F6.3, 1/160秒, ISO200
Lightroom ClassicでRAW現像した画像
空と枝の明暗差でフリンジがくっきり

完璧を求めるがゆえの「もやもや」
もちろん、ズーム倍率8.3倍という高倍率ズームに、3.3倍の 12-40mm F2.8 PRO II と同等の光学性能を求めるのは酷なことかもしれません。
ですが、「どんな条件でも破綻しない完璧な描写」を勝手にイメージしていた私にとって、この発見は小さくないショックでした。
このフリンジ、厄介なのは「除去が難しいケースがある」という点です。
- スポイトやマスクで対応は可能だが、手間がかかる。
- 藤の花のような紫系の被写体では、補正のコントロールが極めて困難。
- DxO PureRAW 6を通しても、完全な解決には至らない。
期待が大きすぎたのか、あるいは個体差なのか。いずれにせよ、一度この「影」を見てしまうと、撮影のたびに隅々をチェックしてしまう自分がいました。
結論:再び、あの「信頼」を求めて
結局、私は迷わず 12-40mm F2.8 PRO II を追加注文しました。

「これ一本でどこへでも行ける」魔法のレンズか、あるいは「どんな状況でも現像を追い込める」揺るぎないレンズか。
しばらくはこの二本を徹底的に使い比べ、自分にとっての「標準ズーム」の定義を、改めて問い直してみたいと思います。


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